内科 – 高血圧(本態性)

内科 – 高血圧(本態性)

高血圧症とは

高血圧症とは、血圧が正常値を超えて持続的に高い状態を指す疾患です。血液が血管壁に対してかける圧力のことを血圧と呼びますが、その値が適切でなければ、体の各部に必要な血液を適切に供給することが難しくなります。
高血圧症は、主に「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2種類に分けられます。本態性高血圧は、特定の原因がはっきりとしていないタイプの高血圧で、生活習慣や遺伝的要素が関与しているとされます。一方、二次性高血圧は、他の疾患や薬物などが原因となる高血圧で、その原因を取り除くことで血圧が正常化する可能性があります。
本態性高血圧の場合、特有の症状がなく無症状で進行することが多いため、「サイレントキラー」とも称されます。長期にわたり放置すると、心臓病、脳卒中、腎臓病などの重大な合併症を引き起こす可能性があるため、定期的な健康チェックと血圧管理がとても大切です。
日本では、高血圧症は成人の3人に1人が罹患していると言われ、健康問題として大変深刻です。特に日本人の食生活に見られる塩分の摂取量が多いことが、高血圧症の発症に影響を与えているとされています。

高血圧症の分類|本態性高血圧と二次性高血圧

本態性高血圧とは、原因が特定できない高血圧のことを指します。引き起こされる要因としては、遺伝や生活習慣などさまざまなものが考えられますが、それらが複雑に絡み合っているため、明確な原因の追求が困難とされています。
一方で、原因となる疾患が明らかな高血圧を二次性高血圧と呼びます。しかし、全体として見ると、高血圧の約9割が本態性高血圧であり、多くの場合、明確な原因が特定されていません。
以下に、本態性高血圧と二次性高血圧の特徴を比較した表を示します。

 
本態性高血圧
二次性高血圧
特徴
原因がはっきりと特定できない高血圧。
生活習慣や遺伝的要素が主に関与しているとされる
他の疾患や薬物などが原因で発生する高血圧。
具体的な原因が特定でき、その原因を取り除くことで血圧が正常化する可能性がある
原因
遺伝的要素、食生活(特に塩分過多)、運動不足、肥満、ストレスなど
腎臓疾患、内分泌疾患(アルドステロン症、クッシング症候群など)、妊娠、薬物副作用(ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬など)といった様々な要因が考えられる
症状
高血圧自体に特有の症状はなく、無症状で進行することが多い。
長期間放置すると、心臓、脳、腎臓などに重大な合併症を引き起こす可能性がある
原因となる疾患により症状は異なる
治療方法
生活習慣の見直し(食事、運動、ストレス管理など)と薬物療法が主な治療方法とされる
原因となる疾患の治療や、原因薬物の中止・変更が基本。
その上で必要に応じて生活習慣の改善や薬物療法を行う

本態性高血圧の診断基準と症状

血圧は最高血圧と最低血圧の値から診断されます。一般的には収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg、拡張期血圧(最低血圧)が90mmHgを超えた場合、高血圧と診断されます。
しかし、血圧は日々の生活習慣やストレス、時間によって変動しますので、一度の測定で高値が出たからといってすぐに高血圧と診断するわけではありません。複数回の測定で繰り返し高値が記録される場合、本態性高血圧と診断されることが一般的です。
本態性高血圧は、症状が出にくい「無症状」が特徴です。それゆえ、しばしば「サイレントキラー」などとも形容され、早期発見が難しいとされています。頭痛やめまい、耳鳴りなどがある場合は、すでに血圧がかなり高まっている可能性があるため、早めの受診を検討しましょう。

正常な血圧とは

血圧とは、心臓が血液を全身に送り出す力、すなわち血液が血管壁にかける圧力のことを指します。血圧には「収縮期血圧」と「拡張期血圧」の二つの数値があります。収縮期血圧は心臓が血液を全身に送り出すときの血圧で、一般的に「上の血圧」「最高血圧」などと呼ばれます。一方、拡張期血圧は心臓が休息しているときの血圧で、一般的に「下の血圧」「最低血圧」などと呼ばれています。
正常な血圧の範囲は人により異なる可能性がありますが、一般的には、収縮期血圧が120mmHg以下、拡張期血圧が80mmHg以下が理想的とされています。これを超えると高血圧の領域に入ると考えられます。

降圧目標値について

降圧目標値とは、高血圧症治療において医師と患者さまが共に目指す血圧の値のことを指します。具体的な目標値は、患者さまの年齢、基礎疾患、合併症の有無などによって異なります。
一般的に、降圧目標値は、収縮期血圧が130mmHg以下、拡張期血圧が80mmHg以下とされています。しかし、特定の基礎疾患を有する患者さまや高齢の方においては、より低いまたは高い目標値が設定されることもあります。これらの目標値は、治療効果と副作用のバランスを考えて、医師と患者さまが話し合って設定します。

本態性高血圧の原因とリスク

先述の通り、本態性高血圧の原因は一つではありません。遺伝や生活習慣、ストレスなどが複合的に影響すると考えられています。

高血圧と生活習慣の関連性

本態性高血圧と深く結びついているのが、生活習慣です。食生活、運動不足、喫煙、そして過度なアルコール摂取が、高血圧の発症リスクを高める大きな要素となります。特に、日本人の食生活に見られる塩分の摂取量が多い傾向は、血圧を上昇させ、結果として本態性高血圧のリスクを増大させていると考えられています。
それに対し、バランスの良い食事や適度な運動、そして心身のストレスを適切に管理する生活習慣は、高血圧のリスクを抑制する効果が期待できます。これらの良好な生活習慣を日常的に維持することで、正常な血圧を維持することができます。

高血圧と遺伝の関連性

遺伝についても、本態性高血圧との関連は無視できません。つまり、親が高血圧である場合、その子供が高血圧になるリスクも高まると言われています。しかしながら、遺伝的な要素はあくまでリスクの一部であり、それが必ずしも高血圧につながるとは言い切れません。健全な生活習慣の維持と改善により、血圧を正常に保ち、高血圧症の発症を避けることは可能です。

本態性高血圧の治療と予防

本態性高血圧の治療|薬物療法と生活習慣の改善

本態性高血圧の治療は、主に薬物療法と生活習慣の改善によって行われます。
まず、薬物療法においては、医師の指導のもと降圧薬を服用していただきます。この薬には、体内の余分な水分と塩分を排出して血圧を下げる利尿薬、血管を広げて血圧を下げるカルシウム拮抗薬、心臓の働きを抑えて血圧を下げるβブロッカーなどがあり、病状や患者さまの体質に応じて処方します。
次に、生活習慣の改善も、本能性高血圧の治療と長期的な健康維持には欠かせません。健康的な食生活の維持、適度な運動、ストレス管理といった、血圧を正常値に保つための改善が必要です。特に食事は、脂質や糖質を適量に抑え、食物繊維を多く含むバランスの良い食事を心掛けましょう。

本態性高血圧の予防|血圧・ストレスの管理と定期的な診察

本能性高血圧の予防においては、血圧の測定を定期的に行い血圧管理をすることが大切です。食事はバランスを考慮したものにし、塩分の摂取を控えましょう。また、適度な運動を心がけ、タバコや過度なアルコール摂取は避けるようことが大切です。
さらに、日々のストレスチェックも大切なポイントです。ストレスは血圧上昇の一因となりますので、リラクゼーションや趣味を通じたリフレッシュ、十分な睡眠時間の確保を心掛けましょう。
ストレス管理には多くの方法がありますが、ライフスタイルや興味に合わせた方法を見つけることが大切です。例えば、瞑想やヨガは深いリラクゼーションを得られる一方、趣味やスポーツは心地よい気分転換になるでしょう。また、十分な睡眠は体と心の回復に寄与し、ストレスに対する耐性を高めます。
そして、定期的に医療機関で健康のチェックを行うことも大切です。血圧の異常を早期に発見できれば、重大な合併症を防ぐことも可能となります。

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