内科 – 風邪・発熱

内科 – 風邪・発熱

風邪(かぜ)とは

風邪(かぜ)は、ウイルスが鼻や喉の粘膜から感染することで起こる、咳、鼻水、喉の痛み、発熱、たん、鼻づまりなどをともなう急性炎症の総称です。
正式には風邪(かぜ)症候群と呼ばれます。風邪(かぜ)には「軽微な、はな・せき・のどの症状が同時に同程度存在する、ウイルス性の上気道感染」という定義があります。つまり、「はな水、のどの痛み、せき」などの軽い症状が複数でた場合に「風邪(かぜ)」になり、誰にとっても身近な病気です。

風邪(かぜ)の種類

「はな水、のどの痛み、せき」の3つのうち、どの症状が気になるかによって「はな風邪」「のど風邪」「せき風邪」などといわれることもあります。

  • 「はな風邪」とは、主に鼻の症状(鼻づまり、鼻水、くしゃみ)が中心となる風邪
  • 「のど風邪」とは、主に喉の症状(のどの痛み、かゆみ)が中心となる風邪
  • 「せき風邪」とは、主に咳の症状(咳、たんのからみ)が中心となる風邪

これらが重い症状の時は、急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん)、急性気管支炎(きゅうせいきかんしえん)、急性咽頭炎(きゅうせいこうとうえん)といった症状名に変わります。
また、一見すると風邪(かぜ)のように見えるけれども、おたふくかぜやインフルエンザ、肺炎、脳症など重い病気であるケースもあるため、気になる場合は医師の診断を受けることをおすすめします。

発熱について

風邪(かぜ)の症状の一つである発熱は、医学的には37.5℃以上を指します。私たちの正常体温(平熱)は36.5℃前後で、37°C〜37.4℃までを微熱、38.5℃以上を高熱と表現します。しかし、正常体温には個人差があり、体温は朝低く夜に向けて上昇するため、総合的に判断する必要があります。

風邪(かぜ)・発熱の主な症状

風邪(かぜ)の初期症状は、くしゃみ、鼻水、のどの痛みです。
風邪(かぜ)の初期症状がおさまらず、全身症状が強い場合は風邪(かぜ)ではなく、インフルエンザやウイルス性胃腸炎など他の感染症の可能性があります。

頭痛・筋肉痛
痛みや、けん怠感が強い場合はインフルエンザの可能性があります。
口内炎
口内炎と高熱が起こった場合は、手足口病やヘルパンギーナの可能性があります。
下痢・嘔吐
発熱とともに下痢や嘔吐が起こったときには、ウイルス性胃腸炎の可能性があります。

風邪(かぜ)・発熱の主な原因

風邪(かぜ)の原因

風邪(かぜ)の原因の8割以上は、のど、気管などの”上気道”へのウィルス感染で、のこりがマイコプラズマやクラミジア、細菌による感染です。
風邪(かぜ)の原因となるウイルスは200種類以上あって、亜種もつぎつぎに生まれてくるため、風邪(かぜ)は何が原因かを特定することが難しく、治療法を絞ることも困難な症状です。風邪(かぜ)は予防とひきはじめの対応が大切といわれるのはそのためです。

主な風邪(かぜ)を引き起こすウイルス一覧

ライノウイルス
風邪(かぜ)の原因の約30〜40%を占めるのがこのウイルス。春や秋に多く、主に鼻風邪(かぜ)(はなかぜ)を引き起こしますが、治りは比較的早いです。
RSウイルス
年間を通じて流行しますが、冬に多いウイルスです。3歳までにほとんどが感染します。乳幼児に感染すると、気管支炎や肺炎を起こすこともあるため、感染を避ける注意が必要です。一方で、基礎疾患を持たない健康な大人は、感染しても症状は軽くすむことが多いです。
パラインフルエンザウイルス
鼻やのどの風邪(かぜ)を起こすウイルスで、子供に感染すると大人に比べ重症化しやすいです。春〜夏に流行する型と秋に流行する型があります。インフルエンザウイルスと名称が似ていますが、別のウイルスです。
アデノウイルス
プール熱の原因となるウイルスで、感染力の強いウイルスであり、高温多湿を好むために夏に流行のピークを迎えます。喉頭炎や気管支炎、結膜炎などを引き起こし、高熱・のどやリンパ節の腫れの症状が特徴的です。
エンテロウイルス
手足口病やヘルパンギーナを引き起こし、夏に流行するウイルスです。のどの痛みや高熱、せきに加え、下痢の症状もあるのが特徴です。
コロナウイルス
新型コロナウイルスとは別のウイルスで、冬にピークがみられます。人は一生涯のうちに何度も感染しますが、鼻やのどの症状は比較的軽症です。

※インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスを除く

発熱の原因

体内に微生物が侵入すると、私たちの身体は生体防御のために働こうとします。発熱することでウイルスや細菌類の増殖を抑える働きや、身体の免疫系を活性化することが発熱の原因になるのです。

風邪(かぜ)・発熱の診察・検査方法

風邪(かぜ)をひいた方が来院された際は、基本的には検査は行わず、診察、触診、聴診で対応します。
症状の悪化やインフルエンザウイルスなどの感染症が疑われる場合には、血液検査やインフルエンザの検査などが行われます。また、発熱や咳が続いている場合に胸部のレントゲン撮影で症状の原因を調べます。
風邪(かぜ)が発端となって起こる感染症などの合併症は多いため、自己判断せずに医療機関で診察・検査をうけるのは大切です。

風邪(かぜ)の治療方法

風邪(かぜ)の原因のほとんどはウイルス性です。ウイルス性の風邪(かぜ)には抗生剤は必要ありません。そのため、治療は安静にするのが基本です。風邪(かぜ)を治すのは薬ではなく免疫力です。安静にしていれば数日から1週間前後で治癒に向かうことがほとんどのケースです。ただし、薬の処方でつらい症状をやわらげていきます。
つらい症状を和らげる薬は、痰を出しやすくする薬、咳を鎮める薬、熱を下げる薬があります。子供の場合にはうまく痰が出せずに気管や肺に溜まってしまうこともあるため、水分を多く摂って痰を柔らかくしたり、背中を軽くたたいて出しやすくしたりといったサポートをしてあげてください。
風邪(かぜ)を回復させるための5つのポイントを紹介します。

  • 睡眠・休養をしっかりとる
  • 身体を温める
  • こまめな水分補給
  • 栄養を十分に摂る
  • 手洗い・うがいで清潔を保つ

ウイルスと戦う免疫の働きをサポートするためにも、日々の生活の基本的なケアが大切です。

風邪(かぜ)による発熱の治療

発熱はむやみに下げる必要はありません。風邪(かぜ)による発熱は、身体がウイルスの増殖を抑え排除しようと体温を上昇させている状態です。発熱を無理に抑えると、身体のウイルスを排除する働きを妨げ、風邪(かぜ)の治癒を遅らせてしまいます。
発熱はけん怠感などつらい全身症状の場合も少なくありませんが、水分や栄養補給をし安静を心がけてください。身体からウイルスを排除できれば、熱は自然と下がります。
しかし、38℃以上の高熱が出る場合は風邪(かぜ)による発熱ではない可能性があります。特に、乳幼児や、高齢者、妊婦などは発熱すると大量を消耗しやすく、感染症を引き起こしやすいため、早めに受診することが大切です。

早めの受診を

人が1年間に風邪(かぜ)をひく回数は平均3〜6回です。風邪(かぜ)は4日から1週間程度で治ることが多く、発熱が3日以上続くことはほとんどありません。しかし、風邪(かぜ)をひいている間に別の細菌に二次感染してしまう場合があります。二次感染すると熱が続いたり、色のついた痰(たん)が出たりします。
二次感染は中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などを引き起こすこともあるため、風邪(かぜ)の症状が続く場合には来院してください。

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