内科 – 腹痛、下痢、嘔吐

内科 – 腹痛、下痢、嘔吐

腹痛・下痢とは

腹痛は、上腹部から下腹部のあいだで起こる、痛みや不快感の総称です。腹痛は日常的によく起こり、食生活やストレス、便秘など原因がさまざまです。
腹痛は、ほうっておいても治ることが多いため軽く考えてしまいがちです。ところが、熱がある、強い痛みを感じる、長く続いている、嘔吐や下痢を繰り返す、便に血が混じるといった場合は、盲腸(もうちょう)や胃がん、胃潰瘍(いかいよう)、アニサキス症などの重大な病気の可能性もあります。
下痢は便に含まれる水分が通常よりも多く、トイレに行く回数が増える状態です。健康な便は水分が70%ほどですが、これより水分が増えると便が柔らかくなり軟便になり、水分が90%を越えると下痢になります。2週間以内で治まる急性の下痢と、慢性の下痢があります。
ストレスや、暴飲暴食、不規則な生活、冷えなどが原因で、急な便意と腹痛をともなう下痢は日常生活の質に大きな影響を与えてしまいます。

腹痛の種類

腹痛は、痛みが発生する仕組みのちがいから、「内臓痛」「体性痛」「関連痛」という3つの痛みに分類されます。

内臓痛
胃・腸・尿管などの内臓器官で起こる痛みです。内臓器官には痛みを感じる感覚神経が少ないため、痛みの部位がはっきりしないことが多いのが特徴です。鈍い痛み、差し込むような痛み、圧迫されるような痛みを感じることが多く、動悸(どうき)や目まい、吐き気や冷汗などを伴うこともあります。
内臓痛は一般的に波があり、ぼんやりとした鈍い痛みで吐き気をもたらします。下痢で起こるのもこの内臓痛です。
体性痛
体性痛は腹膜や横隔膜や筋肉などにある知覚神経がひきおこす痛みで、痛みを感じる場所がはっきりしています。
チクチク刺すような痛み、動かした時などにズキンとくる痛みを感じることが少なくありません。鋭い痛みのため場所を特定しやすいのが特徴です。腹膜炎などの場合は手術を行うこともあります。
関連痛
「関連痛」は内臓痛が酷くなると、脊髄神経(せきずいしんけい)をとおして皮膚などほかの場所が刺激され身体の表面の一部分に痛みを感じます。例えば、痛みの発生源は腹部にある胆のうが、神経のつながっている肩甲骨が痛いと感じる、などです。
また、数ヶ月にわたって持続する痛みは「慢性腹痛」と呼びます。

下痢をともなう疾患

以下の疾患は医師の診断が必要なため、早めに診察を受けましょう。

過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)
精神的ストレスや情緒不安定などが原因になります。慢性的な下痢や、下痢や便秘が交互に起こることもあります。成人の約1割の方が過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)といわれています。
潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)
正確な原因はわかっていませんが、食生活の変化や自己免疫反応の異常などで潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)が引き起こされるケースがあります。大腸の粘膜に慢性的な炎症を起こし、粘膜がただれたり、潰瘍(かいよう)が多発します。下痢と腹痛が長期間続きます。
大腸ポリープ
大腸の内側からイボのように突き出た球状の潰瘍(かいよう)です。下痢や便秘の症状がみられることがあります。放置すると大腸がんに進行することもあるため、注意が必要です。初期段階での自覚症状はなく高年齢になるとポリープが増えやすいため、定期的な検診を受けてください。
食中毒や風邪、感染症
食中毒や風邪、感染症は急性の下痢を引き起こします。嘔吐や吐き気、発熱、血便、腹痛、脱水などの症状が現われるため、治療を急ぐ必要があります。
消化管アレルギー
消化管アレルギーは、食物アレルギーのうち主に消化器に症状が現われるものを指します。アレルギー体質の方が特定の食品(タンパク質を含む食品が多い)を摂取すると、下痢、嘔吐、吐き気、腹痛などが起こります。

下痢は身体の防御反応ですが、脱水に注意してください。脱水は、めまい、微熱、ふらつきなどの症状を引き起こします。症状を的確に伝えられない乳幼児や高齢者には特に気をつけましょう。

腹痛の主な症状

腹痛での症状は下記のものがあります。

  • 発熱
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 下痢
  • みぞおちの痛み
  • 下腹部の痛み
  • 不快感
  • 胸やけ
  • げっぷ
  • 腹部膨満感
  • 背中の痛み
  • 血尿
  • 不正出血

腹痛の症状はさまざまです。
もしも下記の腹痛であれば、すぐに医療機関を受診してください。

  • とても痛くて耐えられないほどの痛み
  • これまでに経験したことのないような痛み
  • 突然発症した痛み
  • 安静にしていても6時間以上続く痛み
  • だんだんと痛みが強くなる痛み
  • 胸痛、嘔吐(吐血)、下痢(下血)、発熱、冷や汗、意識低下をともなう痛み

高齢者や妊娠をしている方、持病がある方などは特に注意が必要です。

腹痛・下痢の主な原因

かるい腹痛は便秘、腹部の冷え、食べすぎ・飲み過ぎなどが原因であることが大半です。日常生活に原因のあるものは以下の通りです。

便秘
便秘は下腹部の痛みを引き起こす原因のひとつです。栄養のバランスの整った規則正しい食事を心がけてください。野菜や海藻など食物繊維を積極的にとり、水分も十分に補給しましょう。また、適度な運動も日々の生活に取り入れることで、便秘解消につながります。
腹部の冷え
腹部の冷えは身体の機能が停滞します。血液は各細胞、臓器の栄養源のため、血液の巡りが悪いと身体の機能も停滞しやすいのです。特に暑い夏の冷たい食べ物・飲み物には注意しましょう。慢性的な冷えがあると、下痢や便秘といった症状を引き起こします。
食べすぎ・飲みすぎ
食べ過ぎ・飲み過ぎは消化不良や胃液の過剰分泌を引き起こします。消化不良は胃が食べ物を消化する速度に追いつかずに、胃の中に食べ物が残ってしまうことが原因です。許容量を超えた食べ物・飲み物を消化するために胃液の大量分泌が必要となります。胃液の過剰分泌は、胃腸が弱ってしまうため下痢を引き起こしてしまうのです。

痛みが強いケースでは重大な病気が潜んでいる可能性が高いです。
以下は腹痛の原因となりうる病気です。見ていきましょう。

胃の病気
胃がん
慢性胃炎
胃潰瘍(いかいよう)
十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)
逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)
機能性ディスペプシア
アニサキス症
小腸・大腸の病気
大腸がん
過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)
潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)
クローン病
腸閉塞
虫垂炎(ちゅうすいえん)
感染性腸炎(かんせんせいちょうえん)
虚血性腸炎(きょけつせいちょうえん)
大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)
膵臓(じんぞう)・肝臓(かんぞう)・胆嚢(たんのう)・婦人科の病気
急性膵炎
慢性膵炎
膵臓がん
肝炎
肝臓がん
胆管結石
胆石症
原発性胆汁性胆管炎(げんぱつせいたんじゅうせいたんかんえん)
卵巣がん
子宮がん

特に胃がん・大腸がん・膵臓がん・肝臓がんは、初期の段階では自覚症状のない場合があり、発見時には進行しているケースが多いため注意が必要です。
これらのがんは「早期発見」で治療率が高まるため、気になる症状がみられた際には、お早めに専門医による診療・検査を受けることが大切です。

腹痛・下痢の診察・検査方法

腹痛・下痢の原因を調べるために問診のほかに、さまざまな検査をします。
検査内容は疑われる病気によって異なりますが、必要に応じて下記の検査を行います。

  • 血液検査
  • X線
  • CT
  • MRI
  • 超音波検査
  • 内視鏡などの画像検査

検査結果と、腹痛の場所や移動の有無、痛みの起こり方(歩くと響く、押すと痛みが増すなど)、痛みが続く時間などの特徴を踏まえて診断にいたります。

腹痛・下痢の治療方法

腹痛の場合は症状に合わせて、鎮痛剤などの対症療法を行います。
これまで紹介したとおり、腹痛の原因はさまざまなため治療方法も変わってきます。日常的な腹痛なら、日常生活での注意点や治療法を提案します。
腹痛の程度によっては命に関わるものもあり救急搬送が必要なときもあります。

早めの受診を

腹痛は、内蔵痛、体性痛、関連性の3種類に分けられ痛みと疾患の重篤度が必ずしも一致しません。腹痛や下痢の原因はさまざまなため、少しでも気になる症状があれば早めに受診しましょう。

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