内科 – せき・ぜん息

内科 – せき・ぜん息

せき・ぜん息とは

せきが出る「ぜん息」は「気管支ぜん息」と「咳ぜん息」に分かれ、それぞれ別の疾患です。気道が過敏になっているのが原因で、咳ぜん息が慢性化すると気管支ぜん息へ移行します。
「気管支ぜん息」は、空気の通り道である気管支(気道)が慢性的に炎症を繰り返すことで気管支が狭くなる疾患です。喉がゼイゼイ・ヒューヒューという「喘鳴(ぜいめい)」の症状や呼吸困難などの発作が生じ、9割以上の方が気管支ぜん息と診断されます。
一方「咳ぜん息」は慢性的に咳のみが続く、気管および気管支の疾患です。気管支ぜん息とは違い、「喘鳴(ぜいめい)」の症状はなく咳だけの空咳(からぜき)が続く状態です。発熱やたんなどの風邪症状が治まったにもかかわらず、咳だけが全くおさまらない症状が8週間以上続いている場合は、咳ぜん息の可能性があります。
咳ぜん息を治療せず放置していると、約3〜4割が気管支ぜん息へ移行するとの報告があります。咳ぜん息は適切な治療や日常生活での健康管理が大切な病気です。症状を繰り返す方は、症状の落ちついている時にも治療をつづけることが必要です。
ぜん息の発症年齢は幼児期と40〜60歳代に2つのピークがあり、幅広い年齢層の方に発症します。小児ぜん息の多くは思春期頃には症状が改善されますが、約30%は成人ぜん息に移行するといわれています。
症状は、軽症のものから命に関わる非常に重いものまでさまざまです。発作の頻度や強さによって治療方法は変わります。

せき・ぜん息の種類

「気管支ぜん息」と「咳ぜん息」はどちらも同じ「ぜん息」の一種です。「喘鳴(ぜいめい)」があるのか、ないのかが大きな違いだといえます。また、「咳ぜん息」よりも「気管支ぜん息」の方が呼吸困難などの重篤な事態につながりやすいため、注意が必要です。

気管支ぜん息
気管支ぜん息はアレルギーを原因として発生する疾患です。呼吸時の空気の通り道である気管支が炎症を起こして、せきや息苦しさを感じます。
アスピリンぜん息
アスピリンなどの鎮痛剤によって発作が誘発されるぜん息で、症状が重いと意識障害や命に関わる恐れもあります。発作の前に鼻水・目の充血が起こることがあるのが特徴です。
運動性誘発ぜん息
運動が原因となりぜん息が起こる疾患です。運動の種類・気温や湿度などの運動環境・運動時間によって変わりますが、多くの方は運動を開始後数分で発作がおこります。運動を止めることで症状は治ることがほとんどです。運動量の激しいスポーツは発作の原因になるため、注意してください。
咳ぜん息
咳ぜん息も気管支ぜん息と同様にアレルギーによって発症する疾患です。空ぜきの症状が長く続き、生活にも支障をきたすことも少なくありません。風邪をひいた後に2〜3週間以上せきが続けば、咳ぜん息を発症した可能性があります。

せき・ぜん息の主な症状

気管支ぜん息
気管支ぜん息の症状は呼吸困難をともなう咳があげられます。就寝後や朝方に咳や息苦しさで目覚めることが多いのも特徴です。また、運動や笑ったあとなどにも咳が誘発されます。呼吸をするたびに喘鳴(ぜんめい)があり、苦しさを感じる方は少なくありません。
咳ぜん息
咳ぜん息は空咳(からぜき)といった咳のみが主症状です。咳はでるものの呼吸機能は正常で、呼吸困難も喘鳴(ぜんめい)もなく比較的軽い症状のぜん息といえます。咳ぜん息で起こる咳は、通常寝る前から早朝に悪化する場合が典型です。

せき・ぜん息の主な原因

「気管支ぜん息」や「咳ぜん息」の症状がおこる原因としては、気道(呼吸の通り道)が慢性的に狭くなっていることと、気道の免疫機能が必要以上に過敏になっていることがあげられます。
ぜん息の方の気管支をはじめとする気道の粘膜には、好酸球(白血病の一種)やリンパ球を中心とした細胞が集まり、発作がおさまっているときでも炎症が起こります。そのため、少しの刺激でも気管支を取り囲む筋力が収縮し、空気の通り道が狭くなる「気道閉塞」が起こりやすい状態が続きます。
ぜん息の発作は、アレルゲン、薬、運動、たばこ、気温や気圧の変化、大気汚染、ストレス、など、さまざまな刺激が原因となって起こります。

アレルゲン
アレルゲンにはハウスダスト、ダニ、カビ、ペットの抜け毛やふけなどがあり、こまめな掃除が必要です。
風邪
風邪やインフルエンザなどは呼吸器感染症を引き起こします。ぜん息の悪化につながるため、風邪を防ぐための手洗い・うがいなどの予防が大切です。
風邪を引いてしまった時には、むやみに市販の風邪薬を服用しないでください。風邪薬の中にはアスピリンなどの解熱鎮痛剤を含むものがあります。これらが原因となるぜん息もあるため、安易に市販の風邪薬を服用せず受診してください。
運動
特に注意すべきなのは「寒い冬場に行う運動」です。冷気や乾燥した空気などはぜん息の発作を誘発しやすいです。運動前に準備運動を行うことで予防できるため、身体をいたわりながらゆっくりと運動強度をあげることが重要です。
たばこ
たばこの煙にはたくさんの有害物質が含まれています。有害物質は気道の炎症を悪化させるため禁煙に努めましょう。また、副流煙による受動喫煙も悪影響です。
気温や気圧の変化
寒暖差の大きくなる季節の変わり目や、台風のような気圧が急変するときなど、気候が不安定な時期にぜん息の発作は起きやすい傾向があります。冷たく乾燥した空気も気管支への刺激となるため、マスクの着用をおすすめます。
大気汚染
排気ガスやPM2.5、黄砂などの大気汚染は気道を刺激し炎症の原因となります。汚染物質は、屋外よりも室内のほうが少ないことがほとんどです。屋外での運動を控えるのも予防のひとつです。
ストレス
私たちの身体はストレスを感じると、自律神経などの乱れによって気道を収縮させます。また、抵抗力も弱まり風邪やインフルエンザなどのぜん息の原因となる感染症にかかりやすくなります。できるだけストレスを緩和させる生活を送ることが大事です。

原因となる上記のような刺激をできるだけ避けることが、発作の予防になります。

せき・ぜん息の診察・検査方法

診察

「気管支ぜん息」と「咳ぜん息」などの判別は、喘鳴(ぜんめい)があるかないかですが、他の症状も伺いながら診断を進めていきます。

診断

咳ぜん息の簡単な判断基準は以下の通りです。

  • 喘鳴(ぜんめい)を伴わない咳が8週間以上続いている
  • 喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難を伴うぜん息にはかかったことがない
  • 8週間以内に上気道炎(風邪など)にかかっていない
  • 気道が過敏になっている
  • 咳には気管支拡張剤が有効を示す
  • アレルギー物質などに反応して咳が出る
  • 胸部レントゲンでは異常が見当たらない

この7項目すべてがあてはまると、咳ぜん息と診断されます。

咳は風邪でもみられる一般的な症状のため、咳が出ているからといってすぐに咳ぜん息を疑われることはありません。しかし、咳ぜん息と診断された場合には、気管支ぜん息への移行を防ぐために継続的な治療が必要です。

せき・ぜん息の治療方法

「気管支ぜん息」と「咳ぜん息」の治療は基本的に同じ内容です。気管支拡張薬を使って狭くなってしまった気管支を広げ、吸入ステロイド薬で気道の炎症を抑えます。気道が広がると空気の通りが良くなり、咳や呼吸の息苦しさが緩和されます。風邪薬や抗生物質、咳止めは効果はないため、注意してください。
ぜん息は症状が落ち着いても再発の恐れのある疾患のため、長期的に診察と治療を続けることが大切です。また生活環境や環境整備などを整えることも意識してください。

早めの受診を

咳がでる病気は、風邪や鼻炎、胃食道逆流炎、肺炎、肺結核、肺がんなど多岐にわたるため、このような病気が原因でないかの確認も必要です。
咳の咳ぜん息があればぜん息の傾向を持っているといえるため、ともに長期的なコントロールをしていくことが重要です。咳が止まらない、呼吸が苦しい、ゼーゼーヒューヒューなどの自覚症状がある方は、なるべく早めに来院してください。

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