その他 – 小外科

その他 – 小外科

小外科とは

小外科では、日常生活での擦り傷や切り傷、火傷、打撲や捻挫などの外傷、皮膚の出来物などの外科処置を行います。これらの手術は通常、全身麻酔なしで行われ、地域医療やクリニックレベルで対応可能なものが多いです。治療対象となる疾患は様々で、皮膚腫瘍や皮膚感染症、外傷、その他の皮膚疾患などが含まれます。

小外科における粉瘤の治療

粉瘤の治療には、通常、切開と排膿が行われます。これは小外科的な処置の一部で、通常は局所麻酔のもと行われます。手術では、まず粉瘤の上皮を取り除き、その後に中の老廃物を取り出します。これにより症状の緩和を図ります。
しかしながら、粉瘤は再発することがあります。それは、粉瘤の袋(嚢)が完全に取り除かれなかった場合に発生することが多いです。そのため、再発を防ぐためには、手術で嚢を可能な限り完全に取り除くことが重要です。これは専門的な技術を必要とします。
なお、重症の場合や再発を繰り返す場合は、より専門的な治療を必要とすることがあります。このような状況では、皮膚科専門医や外科専門医への相談が必要となることがあります。

粉瘤の特徴と症状

粉瘤は、皮膚の内部にできるしこりで、皮膚をつまむとその存在を感じます。痛みを伴わないため、一見するとただのニキビと間違われることもありますが、通常のニキビと異なり、その内部には古い角質や皮脂などがたまり、皮膚の組織によって袋状に包まれます。これを嚢胞(のうほう)と言います。一方、ニキビは毛穴の奥に詰まった皮脂などが炎症を起こした状態で、これを完全に指でつまむことはできません。
また、特徴的な臭いがあり、大きさも時間とともに増す傾向にあります。粉瘤が感染すると急に腫れ上がり、痛みを伴うことがあります。このような状態を「炎症性粉瘤」または「化膿性粉瘤」と呼びます。痛みや熱感、赤み、腫れなどの症状があらわれ、場合によっては悪臭のある膿が出ることもあります。

粉瘤の原因

粉瘤の原因については、まだ科学的にはっきりとは解明されていません。しかし、古い角質や皮脂など、本来なら皮膚のターンオーバーで自然に排出されるはずのものが皮膚内部に残り、その結果、皮膚が異常な状態になると考えられています。また、遺伝的な要素やホルモンの影響も関係していると言われています。
特に、テストステロンという男性ホルモンが関与している可能性が指摘されています。テストステロンの分泌が多いと皮脂の生成も増え、それが粉瘤の発生に影響を与えると考えられています。

粉瘤の予防と治療

粉瘤の発生を防ぐためには、適切な皮膚ケアが欠かせません。具体的には、皮膚を清潔に保つこと、適切なスキンケアで毛穴のつまりを防ぐことなどが挙げられます。加えて、バランスの取れた食事や十分な睡眠、ストレスの軽減なども、皮膚の健康に寄与します。
ただし、一度形成された粉瘤は自然には消えません。粉瘤を除去するためには、医師による手術が必要となります。手術では、嚢胞(のうほう)を含む皮膚組織を切除します。この手術は通常、局所麻酔を実施した上で行われます。

粉瘤の発生部位

粉瘤は体のどの部位にでも発生する可能性がありますが、一般的には、皮脂の分泌が多い部位にできやすいとされています。具体的には背中、顔、首、胸、脇の下、陰部などです。

粉瘤と他の皮膚疾患の違い

粉瘤は、中に詰まった古い角質や皮脂が特徴的な臭いを放つ一方で、ニキビや肉芽腫、脂肪腫など他の皮膚疾患に見た目が似ているため、正確な診断は専門的な知識を持つ医師によるものが求められます。
粉瘤に見た目が似ている他の皮膚疾患の特徴について代表的なものを紹介します。

ニキビ
ニキビは、毛穴が皮脂や死んだ皮膚細胞で塞がり、炎症を引き起こす症状を示します。皮膚上に白頭、黒頭、赤く腫れたにきびが現れるのが特徴で、トピカル薬剤、抗生物質、ホルモン療法などが用いられます。
肉芽腫(にくげしゅ)
肉芽腫は、通常、傷口が治癒する過程で形成される新生組織の一部ですが、過度に成長すると肉芽腫として現れます。赤くて腫れた組織、過度の新しい血管の成長が特徴です。通常は治療を必要としない場合も多いですが、大きくなったり、痛みや不快感がある場合は、外科的な除去やステロイド注射などが考慮されます。
脂肪腫(しぼうしゅ)
脂肪腫は皮膚の下の脂肪層に形成される良性の腫瘤で、柔らかく、皮膚を上下に動かすと動くようなしこりが特徴です。大部分の脂肪腫は痛みを伴わないため、治療の必要性は腫瘍の大きさや位置、症状によります。大きな脂肪腫や症状を伴うものは、一般的に外科的な除去が行われます。
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)
一方、脂漏性角化症は、皮脂腺が多い部位に黄褐色のスケール状の発疹が発生する疾患です。皮膚上に現れる油っぽい、黄褐色の鱗片が特徴で、クリームやシャンプーを用いたトピカル治療、重症の場合は内服薬が主な治療法となります。
アクネ
また、アクネは、毛穴が皮脂や死んだ皮膚細胞で塞がり、炎症を引き起こす症状を示します。皮膚上に白頭、黒頭、赤く腫れたにきびが現れるのが特徴で、トピカル薬剤、抗生物質、ホルモン療法などが用いられます。
毛嚢炎(もうほうえん)
毛嚢炎は毛包の感染により発症し、皮膚上に赤く腫れたにきび状の発疹や膿瘍が出現します。これに対して抗生物質が使用されることが一般的で、重症の場合は外科的な切開排膿が必要となることもあります。
皮膚がん
最後に、皮膚癌(基底細胞癌、扁平上皮癌)は皮膚細胞の異常増殖により腫瘍を形成します。不規則な形状や色の斑点、新しく成長するしこり、潰瘍化する部分などが見られ、手術や凍結治療、放射線治療、局所薬剤などの治療が選択されます。
 
特徴
症状
治療方法
粉瘤
肌の下に固いしこりができ、徐々に大きくなる。しこりの中には白くて臭い脂肪質の塊が含まれる
皮膚上にしこりが現れ、時々痛みを伴う
小外科的な手術で切開し、嚢と中身を取り除く
ニキビ
毛穴の皮脂詰まりにより赤い炎症を生じる
白頭、黒頭、赤く腫れたにきび
トピカル薬剤、抗生物質、ホルモン療法
肉芽腫
傷口の治癒過程で過成長する赤い組織
赤くて腫れた組織、過度の新しい血管の成長
治療が必要な場合は、外科的な除去やステロイド注射
脂肪腫
皮膚下の脂肪層に形成される動くしこり
柔らかく、動かせるしこりができる
大きさや症状によるが、外科的な除去が一般的
脂漏性角化症
皮脂腺が多い部位に発生する黄褐色のスケール状の発疹
皮膚上に厚い、油っぽい、黄褐色の鱗片が現れる
トピカルクリームやシャンプーを用いた治療。重症の場合は内服薬
アクネ
毛穴が皮脂や死んだ皮膚細胞で塞がり、炎症を引き起こす
皮膚上に白頭、黒頭、赤く腫れたにきびが現れる
トピカル薬剤、抗生物質、ホルモン療法など
毛嚢炎
毛包が感染し炎症を起こす
皮膚上に赤く腫れたにきび状の発疹や膿瘍が出現
抗生物質の使用や、重症の場合は外科的な切開排膿
皮膚がん(基底細胞癌、扁平上皮がん)
皮膚細胞が異常に増殖し、皮膚上に腫瘍を形成
不規則な形状や色の斑点、新しく成長するしこり、潰瘍化する部分など
手術、凍結治療、放射線治療、局所薬剤など

粉瘤の診断と手術後のケア

粉瘤の診断は、皮膚の観察と触診によります。特に炎症を伴う粉瘤の場合、皮膚の色や腫れ上がり方、痛みの有無などから診断が行われます。
また、手術後のケアも大切です。切除部位は清潔に保ち、医師の指示に従って適切なケアを行いましょう。また、手術後に痛みが続く場合や予期せぬ腫れが起きた場合は、早急に医師に連絡してください。

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